2008年9月28日日曜日

会話をする植物たち-木

今は亡き遠藤周作が残した話。
「代々木公園の木々が夜中になると互いに会話をする」

昔、何かの学術誌で読んだ記事。
「ある一本の木が危険にさらされると(木が倒される、傷つけられる、燃やされるetc.)、その木は特定の電波を発して、周りの木々にその危険を知らせる」

その記事を読む前に、私は奇妙な体験をしたことがある。

愛車、VINOで大学へ向かっていた。体調は良好、ストレスもなく楽しい日々を過ごしていた。車も少なく、私はいつものように赤いゴーグルをつけ、鼻歌を唄っていたと思う。目の前の信号が赤になったので、停車をし、なんとはなしにその信号を眺めていた。
すると突然、本当に突然だった。意味のわからない感情がやってきて、私を捉え、どうしようもなくさめざめと泣けてきたのだ。
意味のわからないまま信号は青になった。
私は、涙を流しながら、大学へ向かった。
右目の端っこで、土地開拓のためにブルトーザーが木々をなぎ倒していたのを捉えたが、走る間に流れて消えた。

あの感情は一体なんだったんだろうか。

そして、以下は科学的に立証されている話。
「例えば、森の中に生えている一本の木に虫がついたとする。すると、虫につかれた木以外、特に同種の木は、ある種の情報を受けてたんぱく質の組成を変えるという研究結果がでている。つまり、一本の木が、自身に起こっていることを森の他の木々にInformaitonするようなのである」

真夜中、新宿のど真ん中で、今も木々たちはひそやかに会話をしているのだろうか。
ゆるやかに枝をしならせ、黒く緑を浮かせながら。

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